いじめは特性と無関係

TEACHER いじめはあかん

 あなたは、「いじめられる子には決まった特性がある」と思っていませんか?

 結論からいえば、いじめは人の特性によって生じるものではありません。

 「それは違うでしょ? いじめられる子には、決まった特性があるはずだ」と思うかもしれません。

 例えば、性格が暗い、わがまま、生意気、勉強ができない、勉強ができすぎる、目つきが悪い、嘘をつく、約束をよく破る……etc.

 これらの特性を、あえて「弱さ」と呼ぶことにします。

 このような弱さを持っている子がいじめのターゲットになっているから、「いじめられる子に決まった特性がある」と思っているのではないでしょうか。

 しかし、それは間違っています。弱さによっていじめが生じているわけではないのです。

 いじめ自殺が社会現象になった際、研究者の一番の関心は「いじめる子といじめられる子の特性」でした。しかし、研究者たちは「いじめは特定の性格に付随して発生するものではない」と結論づけています。

 研究者が導き出した「いじめが発生するメカニズム」は次の通りです。

 いじめが生み出される前提に「弱さ」があるのではなく、友達との交流の中で、優位に立った者が、相手の「弱さ」を見つけてそれを利用する。あるいは、「弱さ」を作り出して、さらに自分の立場を優位にする

 つまりいじめは、相手を弱い立場において被害を与えるのです。

 例えば、見た目が美しい女子生徒に対する妬みが学級の中に広がっていた場合を考えてみましょう。

 彼女へのいじめは、男子生徒がいる場面では発生しません。なぜなら彼女は、男子がいる場面では優位に立っているからです。

 しかし、彼女が男子に対し甘え声で話したり、ボディータッチを加えたりしたら「いじめのゴング」が鳴り出します。

 それを目撃した周囲の人たちは、たちまち彼女への誹謗中傷を始めるのです。

 「あいつは男から好かれるためなら手段を選ばない人間だ」

 「あんな女がいるから、学級の規律が乱れるのだ」

 「あの甘えた声は周囲を嫌な気持ちにさせる」

 「集団に迷惑をかけている」

 「自分中心で、みんなに対する配慮が足りない」

 そういった誹謗中傷は、大人からは見えないLINEやツイッター間で活発になります。SNSを使って彼女への悪口を共有し、仲間外しを始めるのです。

 いじめる側は、もっともらしい主張を旗印にします。いわゆる倫理的正当性です。

 いじめる側は倫理的正当性を作り出し、多数の支持を取りつけ、彼女を孤立させ、弱い立場へと追い込んでいきます。

 つまり、いじめられる側は、「自分にも悪いところがある」と思わせられながら、精神的に追い込まれていくのです。

 現場でいじめ対応をしていた際、被害者が「いじめられるのは、自分にも原因があります」と発言する場面をたくさん見てきました。

 理由があればいじめても良い、というのは間違った考え方。しかし被害者は、まんまと加害者の術中にハマっているのです。

 いじめのメカニズムをおさらいしましょう。

 優位に立とうとするものが、相手の「弱さ」を見つけ、それを利用して多数の支持者を集める。相手を孤立させながら弱い立場に追い込み、自分が優位に立つ。優位に立ったものは、その力を乱用する。

 教師は、子どもが「弱さ」を指摘している場面を見た際、「いじめに発展するかもしれない」という危機感を持つべきです。その意識があるかどうかが大切なのです。