いじめの定義は4要素で覚えましょう
現在の法律が示すいじめの定義は次の通りです。
「いじめとは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じていなるものをいう」
これは平成19年に文科省が示したものです。平成26年の「いじめの法律」でも改めて定められました。
ちょっと難しい文章ですよね。もう少しわかりやすく説明しましょう。
いじめの定義は次の4要素からできています。
1 子どもが対象(加害・被害者はどちらも子どもです)
2 一定の人間関係(同じ学校や学級などの関係があること)
3 心理的・物理的な影響を与える行為をした
4 被害にあった子どもが心身の苦痛を感じている
このなかで、もっとも大切な要素が4です。被害者が心身の苦痛を感じているかどうか。これがいじめを判断する上で大きな基準になります。
平成19年以前に文科省が示していた「いじめの定義」には、「一方的に」「継続的に」「深刻な」という言葉が入っていました。
つまり以前は、
・被害にあった子どもがやり返した
・たった一回の行為
・深刻ではない
これらの状態では「いじめではない」と判断されていたのです。
定義が変わったことを知らない先生は、間違った視点でいじめかどうかの判断をしています。
もう一度確認しましょう。
被害を受けた子どもが心身に苦痛を感じていれば、いじめなのです。
たった一回の行為でも、いじめです。
この定義で判断しましょう。
また、国の基本方針には2つの例外が示されていることも知っておいてください。
一つは、明らかに重大ないじめ行為を受けているにも関わらず、
被害者が「私はいじめられていない」と主張する場合です。
もう一つは、被害者がいじめられていることに気がついていない場合です。
これらのケースでは、「複数の教師が被害者の表情や様子をきめ細かく観察するとともに、いじめが起こった際の周辺の状況などを客観的に確認して、いじめかどうか判断する」とされています。