なぜいじめるのか?
加害者は、なぜいじめをするのでしょうか?
結論からいえば、いじめはダメだとわかっているけど面白いから。
これを示す調査報告があります。1984年、森田教授らは、「持ち物隠し」「友達をからかう」といったいじめ行為が悪いことだと認識できているかどうか、子どもたちに調査しています。
その結果、「悪い」と思っている子は、
・持ち物隠し…………97%
・友達をからかう……91%
この数字だけみると、きわめて高い規範意識を身につけているといえるでしょう。
ところが、です。次の調査結果をご覧ください。
・持ち物隠しは、調査した44学級のうち42学級で発生
・友達をからかう行為は全学級で発生
このように、実際は持ち物隠しも友達をからかう行為も多発していたのです。
どういうことかわかりますか?
つまり、ほぼ全員が「悪いことだ」と意識しているにもかかわらず、いじめは止まらなかったのです。調査チームの島和博さんは、この矛盾を「いじめを面白いと感じているからだ」と分析しています。
さらに次の調査結果をご覧ください。
・持ち物隠しは面白い、と反応した子どもが約2割
・友達をからかうのは面白い、と反応した子どもが約4割
つまり、「人をいじめてはいけない」という理性よりも、「いじめは面白い」という情動が上回ってしまったのです。
では、どうすれば、いじめを止めることができるのでしょうか。
内面の抑止力が働かないのであれば、外面の抑止力で止めるしかありません。
それは、友人の仲裁や教師の指導などがそれです。
とくに、いじめが起こった際の学校の対応が重要となります。
もう二度としてはならない、と心から思える指導をする必要があります。いじめ事案を決してあやふやに終わらせてはいけないのです。