Arasenblog Witten by Ryuichi Arai

有難う/笑う門には福来る【ことわざ対談 ゲスト:溝口 靖子さん】

今日から使えることわざ講座

ゲストに溝口 靖子さんをお迎えして「ことわざ対談」を行いました。

あらせんより 「溝口さんが考える住みやすい。生きやすい街ってどんな街?」 「溝口さんが大好きな詩?」 を質問した後、溝口さんの「思い出のことわざ」を語っていただきました。

最後に私から「ことわざのプレゼント」をして対談を終えました。

それでは、その模様をお伝えします。

溝口さんが考える住みやすく、生きやすい町ってどんな町?

わたしの住みやすく生きやすい町のイメージは、「安心できる町」「助けを求めても、大丈夫って思える町」です。ヘルプを出しても大丈夫って思えるような人間関係がある町ですかね。

そんな社会になればいいなぁという想いを込めて、Instagram等で発信を続けています。

私は三田市の「高平」という田舎で生まれ育ちましたが、私の住みやすく生きやすい理想は高平です。

道を歩いていても、「どこどこに住むだれだれさんや」ってわかるし、自然に挨拶もするし、今も高平に帰るとホッとしますね。

溝口さんが好きな詩を教えてください

ダウン症児のお母さん エミリー・パール・キングスレーさんが1987年に書かれた詩

<オランダへようこそ>

私はよく
「障がいのある子を
育てるのってどんな感じ?」
と、聞かれることがあります。

そんな時私は
障がい児を育てるという
ユニークな経験をしたことがない人でも
それがどんな感じかわかるようにこんな話をします。

赤ちゃんの誕生を待つまでの間は、
まるで、素敵な旅行の計画を立てるみたい。

例えば、旅先はイタリア。

山ほどガイドブックを買いこみ、楽しい計画を立てる。

コロシアム、ミケランジェロのダビデ像、
ベニスのゴンドラ。

簡単なイタリア語も覚えるかもしれない。
とてもワクワクします。

そして、何カ月も待ち望んだ
その日がついにやってきます。

荷物を詰め込んで、いよいよ出発。

数時間後、あなたを乗せた飛行機が着陸。
そして、客室乗務員がやってきて、こう言うのです。

「オランダへようこそ!」

「オランダ!?」
「オランダってどういうこと??
私は、イタリア行の手続きをし、
イタリアにいるはずなのに。
ずっと、イタリアに行くことが夢だったのに」

でも、飛行計画は変更になり、
飛行機はオランダに着陸したのです。

あなたは、ここにいなくてはなりません。

ここで大切なことは、飢えや病気だらけの、
こわくてよごれた嫌な場所に
連れてこられたわけではないということ。

ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。

だから、あなたは
新しいガイドブックを買いに行かなくちゃ。

それから、今まで知らなかった
新しいことばを覚えないとね。

そうすればきっと
これまで会ったことのない人たちとの
新しい出会いがあるはず。

ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。

イタリアよりも
ゆったりとした時間が流れ
イタリアのような華やかさはないかもしれない。

でも、しばらくそこにいて
呼吸をととのえて、まわりを見渡してみると、
オランダには風車がありチューリップが咲き、
レンブラントの絵画だってあることに気付くはず。

でも、まわりの人たちは、
イタリアに行ったり来たりしています。

そして、そこで過ごす時間が
どれだけ素晴らしいかを自慢するかもしれないのです。

きっと、あなたはこの先ずっと
「私も、イタリアへ行くはずだった。
そのつもりだったのに。」と、いうのでしょう。

心の痛みは決して、
決して、消えることはありません。

だって、失った夢はあまりに大きすぎるから。

でも、イタリアに行けなかったことを
いつまでも嘆いていたら
オランダならではの素晴らしさ、
オランダにこそある愛しいものを、
心から楽しむことはないでしょう。

この詩を読んだ時、「ほんとにそうだな〜」と思って。

病気になったからこそ、すごく幸せが増えたな〜と思うんです。

今日もそうですけど、普通だったら車椅子で行こう!って思わない場所じゃないですか。

でも、こうやって荒井先生が「いいよ!抱っこするよ!」という感じで言ってくれて、ここまで来れたわけじゃないですか。

なんか、普通に自分で階段を上がるより、こうやって人の一手間を加えてもらえて、自分がそこに行けるって、幸せなことなんです。

すごく人の温かさを、日々感じれる生活になったので、「幸せなだなぁ」って思えることが増えました。

溝口さんが大切にしている(よく使う言葉でもかまいません)ことわざを教えてください

有難う

私の病気がわかった後、まだ動けるので仕事を探していた時、全く仕事が見つからなかった。

「自分がこういう病気です」としっかり説明して面接を受け続けたが、雇ってくれるところがなかった。

その時、自分はふてくされてしまっていて、「もう、いや!」っていう感じでした。

そこで、「有難う(ありがとう)」という言葉に出会ったんです。

「有難う」という漢字は「難(なん)が有(あ)る」と書きますよね。

難が有る人生は、有り難い人生で、

難が無い人生は、無難な人生。

そのことに気づいた時に、

「難があるって、ありがたい人生を送れることなんや!じゃ、そっちの方がいいやん」って思えるようになったんです。

私はめちゃくちゃ単純なんで、「有難う」の言葉に元気をもらったんです。人生、山あり谷ありって言いますけど、「はい!毎度あり」と思えるようになりました。

溝口さんへことわざのプレゼント

笑う門には福来る

意味は「楽しそうに明るく暮らしている家には、自然に幸せが訪れるということ」。まさに溝口さんの姿です。

溝口さんが小学校に来て、

・ご自身が病気に出会った時の気持ち。

・その病気に負けず、前に向いて歩き出した時の気持ち。

・これからの夢、目標等々

を「笑顔」で語る溝口さんの姿を見た子供たちは「勇気」と「希望」をもらっていました。

溝口さんは、人々に幸せを与え、ご自身も幸せな人生を送られている。本当に輝いて見えます。

最後に溝口さんに感謝をお伝えし、対談を終了しました。本当に幸せな時間でした。

 

<ゲストの溝口靖子さん>

1児の母。 20歳の時に難病の進行性筋疾患を告知。ドクターより「治療法はなく、最終的に寝たきりになる」と。 現在は電動車椅子に乗り、たくさんの介助者に支えられ日々を送る。 徐々に進行していく体と自分の心に向き合い続け、 人に支えられてみえてきた病気の素晴らしさを人々に発信している。 各イベントや小学校で講演活動も行う。

溝口靖子さんInstagram

https://www.instagram.com/yasuko_mizo/

情熱教師塾YouTubeチャンネル「楽しく生きる ゲスト:溝口靖子さん」

https://youtu.be/r94SH-3kvXU

感じて動くおーむちゃん!「ゲスト:溝口靖子さん」

https://note.com/gto_n/n/neb1a7e452771