一所懸命 今日から使えることわざ講座 No.188
「一所懸命」の「ズバリの意味」「由来」「使い方」などを、ことわざの達人あらせんがわかりやすく解説します。
読み方
いっしょけんめい
ズバリの意味
熱心に力を注ぐようすのたとえ。
豆知識
- 鎌倉時代に武士が命がけで領地を守ったことからできたことば。今は「一所」と発音が似ている「一生」と言うことが多い。
- 類語:一意専心、一心不乱
あらせんより
- 命がけでものごとをやること。必死で努力することをいいます。
- 「一所」とは、主人からもらったひとつの土地のことです。「懸命」とは命がけのことです。つまり命がけで、自分の土地、領地を守ることをあらわします。
- 平安時代のおわりから、その後の時代、上級の武士は、領主など自分の主人から、戦いで働いた成績によって、領地を与えられていました。その領地でできる、米や産物で生活していました。
- ところが、次の戦いで働きが悪いと、前にもらった領地を取り上げられたり、領地をけずられたりしました。
- もらった「一所」、一箇所の領地によって、自分の一族の生活が支えられていたのです。だから、武士は戦いがあると、命がけで敵と戦い、手柄をあげなければならなかったのです。
- ことわざは、そんな昔の武士の働きよう、気持ちから生まれたのです。
- 下級武士はどうだったのか。領主から給料をもらっていました。
- けれど、戦いにでて、大きな手柄をたてたり、いい成績を重ねてとると、一つの土地を支配する権利をほうびとしてもらったのです。その土地の領主や、代官になることができたのです。
- もらった土地の住民がおさめる税金や年貢は、そのままその武士(武将)の収入となりました。
- さらに次の戦い、そのまた次の戦いで手柄を上げていけば、領地はどんどん大きくなって、ついには「一国一城の主」にもなれたわけです。
- けれど、江戸時代になると、藩ができて、戦国時代のように戦いで領地を取り合うことはなくなりました。
- それで武士に与えられるのは「給料」になったのです。「一所」ではなくなったのです。武士には、一所、自分の領地を守らなければいけないという、強い気持ちが薄らいでいきました。
- そして、「一所」と似たような読み方の「一生」がぴったりだとして、使われるようになったのです。
- 武士ではない、今の時代の人々も、生きるのに命がけです。
- それで一生懸命の方がふさわしいと思い、「一生」が多く使われているのです。
- あらせんは、命をかけて取り組んでいることはあるのか?自分に問うてみると、まだまだ甘っちょろい生き方だと恥ずかしくなります。
使い方
- わぁ!!あらせん、ついに大河ドラマの題字を担当することになったんや。すごいな。
- 2020年から10年、1日も欠かさず、一所懸命、書の作品を発表してきたからな。2030年、ついに!大河ドラマの題字を書けることになったわ。
- ちゃんちゃん
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【参考文献】
・小学生おもしろ学習シリーズ まんがことわざ大辞典 西東社
・やばいことわざ 監修 齋藤孝 アスコム
・小学生のまんが ことわざ辞典 改訂版 金田一春彦監修 金田一秀穂監修 学研
・小学生のためのことわざをおぼえる辞典 川嶋優編集 五味太郎絵 旺文社
・深谷圭助先生のまんが国語事典 まんがことわざ事典 金の星社
・世界のことわざ比較辞典 日本ことわざ文化学会 岩波書店
・わざわざことわざ事典 国松俊英 童心社