完璧 今日から使えることわざ講座 No.210
「完璧」の「ズバリの意味」「由来」「使い方」などを、ことわざの達人あらせんがわかりやすく解説します。
読み方
かんぺき
ズバリの意味
欠点や悪いところがなく、完全であること。
あらせんより
- よく「完璧」を「完壁」と書く人がいますが、これは間違いです。「辟」の下は「土」ではなくて「玉」なんです。
- 「璧」は、真ん中に穴が空いた円盤状の宝玉のことなんです。
- また「完璧」はもともと「璧を完する」と読み、「璧を守り通す」という意味なのです。こんな話が元になっています。、
- 昔、趙の国の王が、「和氏の璧」と呼ばれる素晴らしい宝玉を手に入れました。すると、それを伝え聞いた秦の国の王が、15の城と交換しようと申し入れてきました。
- 秦は大国で勢い盛んな国です。15の城と交換など、口先だけで、約束を守る気などないことは想像できました。かといって、申し入れを断れば、それを口実に攻め寄せてくることは確実です。
- 困った趙王は、大臣等を集めて協議。しかしなかなか結論が出ません。すると一人の大臣が「藺相如なら良い知恵を持っているかもしれません」と。
- その藺相如は才知と度胸をあわせもった賢者でした。
- その藺相如は「私が使者としてまいります。約束通り秦が15の城をよこせば、璧を秦においてきますが、約束を破って、城をよこさなければ、璧を守り通して、趙に戻って参ります」と。
- そこで趙王は藺相如を使者として秦に送り出します。
- どうなったかというと、秦王は璧を見て「なんと美しいのか」と大喜びで、自慢げに次々に周りの者たちへ見せて回ります。藺相如など目もくれず、15の城など一言も口にしません。
- (どうやら秦王は城をよこす気はないなぁ)
- そう思った藺相如は、「その璧には傷があります。わかりにくいところなので、教えましょう」と言って、璧を受け取ると、近くの柱に走っていき、秦王に叫びました。
- 「趙の国の王は、5日間、心身を清めた上で、璧を私にあずけ、秦王にお渡しするようにと命じました。あなたもどうか、同じように礼を尽くして璧をお受け取りください。さもなければ、私の頭とともに璧をこの柱に打ちつけて、粉々に砕いてしまいますぞ」
- 秦王は「待て、待て、早まるではない!!」と言って藺相如を止めました。
- そして藺相如に言われた通りに、5日間心身を清めました。
- 藺相如はその間に、付き人にひそかに璧を持たせて趙に帰国させてしまいます。
- さて、5日間、心身を清めた秦王は、あらためて璧を受け取ろうとしました。
- すると藺相如は「申し訳ありません。璧は趙に戻してしまいました。あなたが約束を守る気がおありにならないと感じたからです。とはいえ、あなたをあざむいた罪を逃れる気はありません。どうか釜ゆでにでもなんでもしてください」。
- 秦王は怒りましたが、藺相如を殺しても璧が手に入るわけでもなく、趙とも争いたくなかったので、思い直して藺相如を趙に返してやったのです。
- 藺相如は「璧を完うした」のです。まさに完璧です。
- 「完璧」という普段何気に使っている言葉に、こんな由来があったなんて、面白いですよね。一つの言葉のもとをたどっていくと、思いがけないドラマに出逢います。
- 数十回は、故事成語を紹介していきたいと思っています。ご期待ください。
使い方
- のぞみちゃん、2組の拓哉くんがきたわよ。
- みんなが振り返っているわね。かっこええわ。勉強もできるし、運動神経もいいし、その上イケメンやなんて、本当に完璧な人やわ。
- ちゃんちゃん
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【参考文献】
・小学生おもしろ学習シリーズ まんがことわざ大辞典 西東社
・やばいことわざ 監修 齋藤孝 アスコム
・小学生のまんが ことわざ辞典 改訂版 金田一春彦監修 金田一秀穂監修 学研
・小学生のためのことわざをおぼえる辞典 川嶋優編集 五味太郎絵 旺文社
・深谷圭助先生のまんが国語事典 まんがことわざ事典 金の星社
・世界のことわざ比較辞典 日本ことわざ文化学会 岩波書店
・わざわざことわざ事典 国松俊英 童心社