力のアンバランスの乱用がいじめ
いじめ研究の第一人者、大阪市立大学の森田洋司名誉教授(以下「森田教授」)は、研究結果から、
「いじめとは力関係のアンバランスの乱用だ」と述べています。
ここでいう力とは、相手に与える影響力のことです。
考えてみれば、私たちが接している人間関係には、実にさまざまな力関係が入り込んでいます。能力の違い、経験や知識の差、人気度、集団内の役割の差、社会階層の違いなど。
力のアンバランスが存在すること自体は、異常でも問題でもありません。しかしこの力が乱用されれば、他者への攻撃やハラスメント、虐待につながるのです。
・上司から部下への力の乱用は「パワー・ハラスメント」
・医者から患者は「ドクター・ハラスメント」
・教授から学生は「アカデミック・ハラスメント」
・ジェンダー間なら「セクシャル・ハラスメント」
・夫婦間なら「ドメスティック・バイオレンス」
・保護者から子どもは「児童虐待」
そして、子ども間で力の乱用がなされれば「いじめ」です。
つまりいじめとは、力のバランスが一方に傾いたままの状態が続き、力が乱用され続けている状態なのです。
もうおわかりでしょう。いじめを解決するとは、一方的に偏った力のバランスを均等に戻すことなのです。