いじめの四層構造
いじめは集団の問題です。
いじめが起こった場合、加害者と被害者の対応だけに追われていませんか? もちろん、両者に対する指導・支援も大切です。しかし見落としがちなのは、いじめを取り巻く「観衆」と「傍観者」の存在です。
実は観衆と傍観者の存在が、いじめの発生に大きく影響しています。
森田教授は、いじめの研究結果から「いじめの四層構造」を示しました。これは国の基本方針でも取り上げられています。
図3のように、被害者と加害者のまわりには、はやし立てたり面白がったりする観衆や、見て見ぬふりをする傍観者の存在がいるのです。
森田教授の研究によると、観衆や傍観者の数が増えれば増えるほどいじめが悪質化する、ということもわかっています。止めようとしない集団が増えるほど、いじめはエスカレートしていくのです。
いじめを取り巻く集団が、いじめの質に大きく関係していることが証明されました。
逆に言えば、「いじめは絶対に許さない」という集団であれば悪質化しないということです。
例えば、次のような集団を考えてみましょう。
いじめが起こったら、
・はやし立てずに「やめろ」と言う
・「人として恥ずかしい行為だ」と止めに入る
・ただちに、先生に助けを求める
このような人が圧倒的に多い集団であれば、いじめはエスカレートしません。いじめができない雰囲気になることは間違いないでしょう。
観衆や傍観者から、仲裁者へ。
この変革こそ、いじめが起こりにくい環境を作るカギなのです。
いじめを未然に防止、また再発を防止したいのなら、まず集団を指導しましょう。