Arasenblog Witten by Ryuichi Arai

いじめの早期発見

いじめ

 いじめを早期発見するポイントです。

 国の基本方針を読み解くと「○○を作れば、いじめの早期発見ができる」と述べていることがわかります。何だか分かりますか?

 答えは「相談しやすい環境を作る」です。

 手立てを2つ紹介します。

 まず一つ目は、相談体制を整えること。もしいじめられても、信頼できる先生が学校にいればすぐに相談しますよね。でも実際にはそうならないことが問題なのです。

 とくに小学校では、クラスの担任が一番身近な先生になります。ほとんどの科目を教わるのは担任の先生だからです。

 しかし多くの子どもは、担任の先生に相談していないようです。それは、担任の先生に言ってもこの学級が良くなるとは思えない、と判断しているからではないでしょうか。

 では、どうすればいいのか。

 「いじめ対策組織の先生」に相談すれば良いことを教えてあげてください。

 すべての子どもに、年度始めの全校集会で「いじめ対策組織の先生はこの人です」と紹介します。どの時間でも相談できることや、どのように対応し解決してくれるのか、詳しく説明しましょう。場合によっては、被害者の希望通りに対応できることも教えてあげます。とにかく、「あなたを守るためのいろんな先生がいる」ことを、メッセージとして伝えておくのです。

 それでも相談できない子どもがいます。悪質ないじめの場合は、第三者に相談できないよう、巧妙に被害者を追い詰めていきます。そんな時のために、二つ目の手立てがあります。

 それは「いじめアンケート」と「全員を対象とする個人面談」の実施です。

 いじめアンケートとは、いじめがどの程度起こっているかを把握するものです。この調査は無記名式が絶対原則。なぜなら、教師が気づかないいじめがどれくらい起きているか、把握するためのものだからです。

 実施方法は、まず無記名式のアンケートを家に持ち帰らせます。回収は封筒に厳封状態とし、教師が子どもから手渡しで回収します。

 アンケート内容については、簡単な質問でかまいません。

 ・あなたはいじめを受けていますか?

 ・あなたの周りに、いじめを受けている人はいますか?

 ・心配なことはありませんか?

 アンケートを提出させたあと、全員を対象とする個人面談を実施します。

 面談では、最近困っていることや先生に聞いて欲しい話など、悩みを中心に最近のようすを聞けば良いでしょう。もし悩みがなければ、クラスの雰囲気や困っていそうな子はいないか、などを聞けばいいのです。今は話すことがなくても、今後なにか話したくなったらいつでも相談にきて良いことを伝えておいてください。先生に相談すれば良い結果になるかもしれない……そう思わせることこそが、個人面談のポイントになります。

 この面談は、いじめの抑止効果にもつながります。きちんとした形式でおこなう全員対象の面談は、「いつ、誰が、チクったか」わからなくなるのです。安易に加害行為をしている子どもには「バレるかもしれない」という抑止が働きます。

 また、定期的なアンケートや個人面談は「いじめを撲滅させたい」という教師の本気度を伝える効果もあります。ていねいな実施は手間も時間もかかるからです。

 教師からよく聞く意見は、「記名式のアンケートにすれば、回答してきた子どもとだけ話せばいいので効率的だ」というもの。

 この考えは、教師の都合でしかありません。

 学級で一斉に回答するスタイルだとすると、加害者は同じ場にいることが多い。長々といじめられたことを書いていたら、「あいつ、いじめのことを書いているんじゃないか」と思われるかもしれません。正直に書けないのは当然でしょう。

 小学校高学年にもなれば、アンケートや面談が教師の都合で実施されているかどうか、簡単に察知します。

 文科省の「生徒指導リーフ アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる」には、次のようにあります。

「事実、先生は、私たちのことを心配しているわけじゃない。いじめが起きると自分たちが困るから、アンケートしているだけだ。心配なのは自分たちのことだけ。その証拠に、『いじめの回答がなかった』と、単純に喜んでいる。そんな先生たちなど、怖くて話せない……そんなふうに訴える子どもが、実際にいるのです」

 子どもは教師のことをじっと見ています。

 教師が本気なれば子どもは心から安心します。

 相談体制の強化、全員対象のいじめアンケート、個人面談の実施。これがいじめの早期発見のポイントです。ぜひ実施してください。