Arasenblog Witten by Ryuichi Arai

性的マイノリティが直面している危機

LGBT

 「性的マイノリティが直面している危機」について、次の流れで述べさせていただきます。

  1. 性的マイノリティに対する「いじめの深刻化」
  2. 性的マイノリティがクラスにいる割合
  3. 親へのカミングアウト率
  4. 親以外へのカミングアウト率
  5. 自殺念慮と自殺未遂
  6. 自殺未遂をしたことがある
  7. 教職員の適切な理解が急務

 では順番に述べていきます。

性的マイノリティに対する「いじめの深刻化」

 2017年3月、国の「いじめ防止等のための基本的な方針」が改定されました。 その改定箇所の一つが「性的マイノリティに対するいじめ」の追記です。

 これは「性的マイノリティへのいじめ」が全国で多発していることを意味しています。 この性的マイノリティの割合を示したものが、次のグラフになります。

性的マイノリティがクラスにいる割合

 性的マイノリティを日本語にすると「性的少数者」となります。 多数派の「マジョリティ」に対して、少数派を「マイノリティ」と言いますが、 この性的マイノリティには、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、 いわゆるLGBTが、その代表になります。

 その割合は、様々な調査から、世界のどの地域にも3~5%存在することがわかってきました。 日本の人口で言えば、3%は390万人。四国4県の総人口と近い値です。 学校のクラスで言えば1~2人です。

 少数者とは名ばかりで、とても身近な存在といえます。

 「いないのではなく、気づいていない」と言えます。 性的マイノリティからすると、本当のことを打ち明けること (いわゆるカミングアウト)が、できずにいるということになります。 親へのカミングアウト率を示したものが、次のグラフです。

親へのカミングアウト率

 ゲイ・バイセクシュアル男性を対象としたアンケート調査では、 10代で「親にカミングアウトしている人の割合は11.5%でした。 親にも相談できずにいるのです。 では親以外のカミングアウトを示したものが、次のグラフです。

親以外へのカミングアウト率

 親以外へのカミングアウトは10歳代で約4割です。 「きっと誰にも理解してもらえないだろう」

 あるいは「異常ではないか」と思われるだろうと、ありのままの自分を封印しているのです。 さらに、深刻な状況を示すものが、次のグラフです。

自殺念慮と自殺未遂

 ゲイ男性とバイセクシュアル男性を対象にした調査では、約65%の人が自殺を考え、 その内14%の人が、実際に自殺未遂を起こしたことがわかっています。 自殺未遂を起こした年代グラフがこちらです。

自殺未遂をしたことがある

 10歳代が最も高い値を示しています。
性的マイノリティの問題は、「命に関わる問題」なのです。 性的マイノリティの子どもたちが、「生きづらさ」を感じて生きていることがお分りいただけたと思います。

教職員の適切な理解が急務

 このような状況の中、平成24年の「自殺総合対策大綱」や平成27年に「文部科学省から出された通知」には、教職員の適切な理解が急務であることが述べられています。 性的マイノリティの子どもに安心と希望を与えるために、教職員が果たす役割について、考えていかなければならないということです。

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