Arasenblog Witten by Ryuichi Arai

元の木阿弥 今日から使えることわざ講座 No.179

今日から使えることわざ講座

「元の木阿弥」の「ズバリの意味」「由来」「使い方」などを、ことわざの達人あらせんがわかりやすく解説します。

読み方

もとのもくあみ

ズバリの意味

苦労して一度はよくなったものが、またもとの好ましくない状態に戻ること。せっかくの苦労や努力が無駄になること。

豆知識

英語例:to return home as wise as one went (少しも賢くならずに戻ってくる)

あらせんより

  • しばらくの間、良い状態だったものが、また悪い状態に戻ること。また、よくなろうとやった努力や苦労が、みんな無駄になってしまうことをいいます。
  • 貧しい商人が、新しい商品を作って売り出しました。その品はとても評判が良くて、どんどん売れました。商人は大儲けしました。
  • ところが、もっと儲けようと欲を出し、似た品物を何種類も作りました。けれど、後からの商品はまったく売れず、大失敗してしまった。そして、また、前の貧しい状態に戻ってしまったのです。
  • そんな人のことを「元の木阿弥」といいます。
  • このことわざができた説は、いくつかあります。
  • 一つが筒井順昭という殿様の話です。
  • 戦国時代、奈良・大和郡山城の城主だった筒井順昭が死んだ。あとを継ぐのは、まだ一歳の赤ん坊です。それで順昭は、死ぬ前に「しばらくの間、自分が死んだことを世間の人たちに知らせてはいけない」と遺言を残したのです。
  • 家来たちは、死んだ順昭に姿も声もそっくりの「木阿弥」という男を探し出してきました。そして、薄暗い部屋に木阿弥を寝かせました。城に来た人には、離れたところから声だけを聞かせました。こうして、まだ順昭が生きているように見せかけたのです。
  • 3年経って、子供も大きくなったので、順昭が死んだことを発表。木阿弥はいらなくなり、城から追い出されました。それまの贅沢な殿様の暮らしから、元の貧しい生活に戻ったのです。ここから「元の木阿弥」のことわざが生まれたという説です。
  • もう一つの説をいいます。
  • 木工兵衛という男の話です。百姓の木工兵衛は、ある時、大きな寺の僧にたくさんのお金をおくりました。そして「なんとか阿弥」という、もったいぶった仏教の名前をもらいました。木工兵衛は得意になって、その名前のことを知らせて回りました。
  • しかし、村人たちは、そんな難しい名前は覚えられませんでした。
  • 村人たちは、元の「木工兵衛」と「なんとか阿弥」という名前をごっちゃになってしまい、「木阿弥」と呼ぶようになったというのです。
  • たくさんのお金を使ってもらった名前は無駄になり、それまでの苦労は何にもならなかったという説です。
  • あらせんが思うことは、努力や苦労は無駄にならないということです。たとえ結果が悪かろうと、困難の克服に挑んだ戦いは生命に刻まれます。強い自分になったのです。何度も挑んで転んでまた立ち上がって転んでまた立ち上がる。この繰り返しが人間を強くします。強い人が幸福であるという確信があります。
  • あと、違う視点でいうと、全ての苦労は、ネタになります。失敗エピソードこそ勝者になったときは、希望の話になります。
  • 「元の木阿弥」を何十回、何百回、経験してもいいじゃないですか。

使い方

  • うわぁ、ひどいなぁ。物置小屋が壊れてもうたなぁ。
  • ほんまや。せっかく作った物置小屋が台風の強風で壊れて、元の木阿弥になってしまったわ。トホホ。
  • ちゃんちゃん

 

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【参考文献】

・小学生おもしろ学習シリーズ まんがことわざ大辞典 西東社

・やばいことわざ 監修 齋藤孝 アスコム

・小学生のまんが ことわざ辞典 改訂版 金田一春彦監修 金田一秀穂監修 学研

・小学生のためのことわざをおぼえる辞典 川嶋優編集 五味太郎絵 旺文社

・深谷圭助先生のまんが国語事典 まんがことわざ事典 金の星社

・世界のことわざ比較辞典 日本ことわざ文化学会 岩波書店

・わざわざことわざ事典 国松俊英 童心社