坊主憎けりゃ袈裟まで憎い 今日から使えることわざ講座 No.176
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の「ズバリの意味」「由来」「使い方」などを、ことわざの達人あらせんがわかりやすく解説します。
読み方
ぼうずにくけりゃ けさまでにくい
ズバリの意味
ある人を憎らしいと思うと、その人に関係するものがすべて憎らしく思えてくるというたとえ。
豆知識
- 僧侶を憎いと思うと、着ている袈裟まで憎たらしく思えてくる意から。
- 対句:あばたもえくぼ、惚れた欲目
あらせんより
- 坊主が憎いと思うと、その坊主の袈裟までが大嫌いになる。
- 一人の人を憎むあまり、その人とつながりのあるもの、着ているもの、持ち物、匂いなどすべてがにくくなることをいいます。
- 「袈裟」とは、お坊さんが肩からかけて着る衣のことです。
- サンスクリット語でカシャーヤ(にごった色とか赤かっ色の意味)といい、その発音から「袈裟」となったそうです。
- インドのお坊さんの衣は、捨てられたボロ布を拾って、縫い合わせた質素なものでした。色も原色はダメで、にごった色と決められていました。
- 中国や日本では、インドとは気候が違うので、袈裟の下にもう一枚衣を着るようになりました。
- そして袈裟は、次第にお坊さんの身分を表すものになり、派手で立派なものになっていきました。
- 錦の布に、金糸でもようを織ったような、贅沢できらびやかなものも作られました。
- どうしてこんなことわざが生まれたのでしょうか。
- お坊さんというのは、本当はいろんな欲望を持たず、清くて尊い人格のはずです。
- それなのに、昔は行いが悪かったり、よく深かったりするお坊さんがいたようです。人々は、そんなお坊さんをひどく憎むようになったそうです。
- 有り難そうにお経を読むお坊さんに対して、体にかけている袈裟まで憎くなった。こんなところからことわざは生まれたといわれています。
- このことわざの反対の意味のことわざに「あばたもえくぼ」があります。
- これは、愛する人に対しては、あばた(病気で皮膚に残った小さな傷跡)さえも、えくぼに見えてしまうという意味です。好きならば、何でも可愛く見えてしまうということです。
- 人の心って、ある意味怖いですよね。心一つで見える景色が違ってしまうのですから。
- 心こそ大切です。常に前向きにとらえていけるように。感謝の心を忘れず生きていきたいです。
使い方
- 勇輔くん、急にどうしたの?
- くそーーー。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで、喧嘩した相手の家が見えただけで腹が立ってきたわ。
- ちゃんちゃん
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【参考文献】
・小学生おもしろ学習シリーズ まんがことわざ大辞典 西東社
・やばいことわざ 監修 齋藤孝 アスコム
・小学生のまんが ことわざ辞典 改訂版 金田一春彦監修 金田一秀穂監修 学研
・小学生のためのことわざをおぼえる辞典 川嶋優編集 五味太郎絵 旺文社
・深谷圭助先生のまんが国語事典 まんがことわざ事典 金の星社
・世界のことわざ比較辞典 日本ことわざ文化学会 岩波書店
・わざわざことわざ事典 国松俊英 童心社