この記事の3行まとめ
- 2024年度の重大事態の34.9%は、重大事態になる前に学校がいじめとして認知していませんでした。
- 早期発見のカギは「相談しやすい環境をつくる」ことです。
- 相談体制を子どもに示し、無記名アンケートと全員面談をセットで行います。
見逃されている「いじめ」
文部科学省の調査によると、2024年度に起きたいじめの重大事態は1,405件でした。そのうち34.9%は、重大事態になる前に、学校がいじめとして認知していなかった事案です。
小さなうちに見つけていれば、深刻にならずにすんだかもしれない。そう考えると、早期発見の仕組みがいかに大切かがわかります。
カギは「相談しやすい環境」
国の基本方針を読み解くと、早期発見のポイントは「相談しやすい環境をつくること」に行きつきます。手立ては2つあります。
手立て1:相談体制を子どもに示す
小学校では、担任がいちばん身近な先生です。けれども多くの子どもは、担任に相談していません。「担任に言っても、よくならない」と感じているのかもしれません。

そこで、年度はじめの全校集会で、学校いじめ対策組織の先生を子どもたちに紹介してください。
- 「いじめのことは、この先生たちに相談していい」と顔を見せて伝える
- いつでも相談できること、相談したらどう動くかを説明する
- 被害の子の希望をふまえて対応することを伝える
- 1人1台端末の相談フォームなど、話さなくても伝えられる方法も示す
手立て2:無記名アンケートと全員面談
それでも相談できない子がいます。悪質ないじめほど、被害の子が誰にも言えないよう追いつめられています。そこで、アンケートと面談をセットで行います。
無記名アンケートの進め方
| ポイント | 理由 |
|---|---|
| 無記名にする | 教師が気づいていないいじめの広がりを知るため |
| 家に持ち帰って書かせる | 教室では、近くに加害の子がいて正直に書けないため |
| 封筒に入れ、教師が手渡しで回収する | 誰が何を書いたか、周りにわからないようにするため |
| 質問は簡単にする | 「いじめを受けていますか」「周りにいじめを受けている人はいますか」「心配なことはありますか」 |
全員面談の進め方
アンケートのあとに、全員を対象に個人面談を行います。
- 最近困っていること、先生に聞いてほしいことを中心に聞く
- 悩みがなければ、学級の雰囲気や困っていそうな子がいないかを聞く
- 「今後、話したくなったらいつでも来ていい」と伝える
全員と面談すれば、「誰が話したのか」がわからなくなります。軽い気持ちでいじめをしている子には、「ばれるかもしれない」という抑止にもなります。
子どもは教師の本気度を見ている
「記名式にすれば、書いた子とだけ話せばいいので効率的だ」という声を聞くことがあります。でもそれは教師の都合です。子どもたちは、アンケートが自分たちのためか、先生たちのためかを、敏感に感じ取ります。
手間のかかるアンケートと面談をていねいに続けること自体が、「いじめを絶対に見逃さない」という教師の本気を伝えるメッセージになるのです。
出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・14節、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)、国立教育政策研究所「生徒指導リーフ アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる」
