このセミナーは、いじめや暴力、深夜徘徊、万引きなどをくり返す子どもと関わっている先生や保護者の方に向けたものです。「もう、どうしたらいいかわからない」。そう悩んでいるあなたに、届けたいと思います。シンガポール大会で優勝したときに話した内容です。
トイレで火が出た日
私は小学校の担任を16年間してきました。ある日、子どもたちが叫びながら走ってきました。「先生、トイレで火が出てる!」。駆けつけると、本当に火が出ていました。また別の日は「先生、トイレに金魚がいる!」。警察が学校に来た日もありました。家でけんかが絶えない家庭もありました。
「もう、どうしたらいいかわからない」。私自身が、そう思っていました。

そこで私は、子どもへの関わり方を変えました。すると、問題が小さくなっていきました。学級が楽しくなり、落ち着いていきました。その経験から気づいたことがあります。
悪いことをする子は、みんな、自分を見てほしいと思っている。
罰では、子どもは変わらない
昔は日本でも、子どもを叩いたり、長い時間外に立たせたりする罰がありました。でも今では、体罰が子どもの脳を傷つけ、心や体の不調につながることが研究で示されています。私の方法は、罰を使いません。
APメソッド:A=Ask(聞く)、P=Praise(ほめる)
1. Ask(聞く) 「何がしたいの?」と聞きます。
夜遅くまで帰ってこない子に「遅く帰ったら罰だぞ」と言っても、子どもは帰ってきません。そうではなく、「何時に帰りたい?」と聞く。子どもは少し考えて「10時に帰る」と言います。自分で決めたことには、自分で責任を持つようになります。
2. Praise(ほめる) 決めたことができたら、「よくやったね」とほめます。
10時に帰ってきたら、「Good job!(よくやったね)」。それだけです。
1,000回の大なわとび
15年ほど前、私の学級は本当に荒れていました。トイレで火、トイレに金魚。でも私は、子どもたちが大好きでした。全員を、笑顔で卒業させたかった。
ある日、子どもたちに聞きました。「みんな、何がしたい?」。子どもたちは話し合って、こう答えました。「大なわとびを、みんなで1,000回とびたい」。
3週間後。1回、2回、10回、100回、500回、800回……そして1,000回を超えました。涙があふれて、私は「よくやった、よくやった」と何度も言っていました。子どもたちも、泣きながら笑っていました。
信じて、認めること。それが子どものやる気になります。
まとめ:遅すぎることはない
- Ask:「何がしたいの?」と聞いて、子どもに決めさせる
- Praise:できたら「よくやったね」とほめる
とてもシンプルです。でも、子どもは自分で責任を持てる大人へと育っていきます。どんなに荒れた子でも、遅すぎることはありません。
これまで出会った子どもたちに、心から感謝しています。
