先生のためのいじめ基礎講座

いじめは「力の乱用」。いじめが生まれる仕組みを図解で理解する

あらせん(荒井隆一)あらせん (更新 2026年10月30日)
この記事の目次
  1. いじめは「力の乱用」
  2. いじめは「特性」から生まれるのではない
  3. 「自分にも原因がある」と思わされる被害者
  4. 教師が危機感をもつべき場面

この記事の3行まとめ

  • いじめとは、力関係のアンバランスが乱用されている状態です。
  • いじめは、被害の子の性格や特性が原因で起きるのではありません。加害側が「弱さ」を見つけ、作り出すのです。
  • 子どもが誰かの「弱さ」を指摘している場面は、いじめの入り口と考えます。
肩を組まれておびえる子(いじめ場面)(イラスト)
肩を組んで笑っていても、力の差があれば、それはいじめです。(イラスト:広野りお)

いじめは「力の乱用」

いじめ研究の第一人者である森田洋司さんは、いじめを「力関係のアンバランスの乱用」と表現しました。

人間関係には、もともとさまざまな力の差があります。能力、経験、人気、集団の中での役割。力の差があること自体は、異常でも問題でもありません。問題は、その力が乱用されることです。

力の差がある関係乱用されると
上司と部下パワー・ハラスメント
保護者と子ども児童虐待
夫婦・パートナードメスティック・バイオレンス
子どもと子どもいじめ

いじめを解決するとは、一方に傾いた力のバランスを、元に戻すことなのです。

いじめは「特性」から生まれるのではない

「いじめられる子には、何か原因があるのでは」。そう考える大人は少なくありません。暗い、わがまま、生意気、勉強ができない、逆にできすぎる。

しかし研究者たちは、いじめは特定の性格から生まれるのではない、と結論づけています。いじめが生まれる仕組みは、次のとおりです。

  1. 集団の中で優位に立とうとする子が、相手の「弱さ」を見つける。または「弱さ」を作り出す
  2. その「弱さ」を理由に、もっともらしい正当性をつくる(「あいつはみんなに迷惑をかけている」など)
  3. 周囲の支持を集め、相手を孤立させ、弱い立場に追いこむ
  4. 優位に立った側が、その力を乱用し続ける

「自分にも原因がある」と思わされる被害者

この仕組みの怖いところは、被害の子が「自分にも悪いところがある」と思わされていくことです。私は現場でいじめ対応をしていたとき、被害の子が「いじめられるのは自分にも原因がある」と口にする場面を、何度も見てきました。

理由があればいじめてもよい、ということは絶対にありません。教師は、被害の子に「あなたは悪くない」と、はっきり伝える必要があります。

教師が危機感をもつべき場面

子どもが誰かの「弱さ」を指摘し、それに同調する声が広がっている場面。これは、いじめの入り口です。

  • 「あいつ、空気読めないよね」
  • 「あの子がいるから、班がまとまらない」
  • 「みんな迷惑してるよ」

こうした言葉を耳にしたら、「いじめに発展するかもしれない」という危機感をもって、早めに集団に働きかけてください。ターゲットになりやすい子については、ターゲットになりやすい子と、学校がすべき配慮で解説します。

出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・4節、第2・5節、森田洋司『いじめとは何か』(中公新書)

あらせん(荒井隆一)
この記事を書いた人 あらせん(荒井隆一)

小学校校長。書家。ことわざの達人。SUNPEACE 理事長、情熱教師塾 塾長。第63回読売教育賞 最優秀賞。著書『いじめ2.0〜新しいいじめとの戦い方〜』。

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