この記事の3行まとめ
- いじめとは、力関係のアンバランスが乱用されている状態です。
- いじめは、被害の子の性格や特性が原因で起きるのではありません。加害側が「弱さ」を見つけ、作り出すのです。
- 子どもが誰かの「弱さ」を指摘している場面は、いじめの入り口と考えます。

いじめは「力の乱用」
いじめ研究の第一人者である森田洋司さんは、いじめを「力関係のアンバランスの乱用」と表現しました。
人間関係には、もともとさまざまな力の差があります。能力、経験、人気、集団の中での役割。力の差があること自体は、異常でも問題でもありません。問題は、その力が乱用されることです。
| 力の差がある関係 | 乱用されると |
|---|---|
| 上司と部下 | パワー・ハラスメント |
| 保護者と子ども | 児童虐待 |
| 夫婦・パートナー | ドメスティック・バイオレンス |
| 子どもと子ども | いじめ |
いじめを解決するとは、一方に傾いた力のバランスを、元に戻すことなのです。
いじめは「特性」から生まれるのではない
「いじめられる子には、何か原因があるのでは」。そう考える大人は少なくありません。暗い、わがまま、生意気、勉強ができない、逆にできすぎる。
しかし研究者たちは、いじめは特定の性格から生まれるのではない、と結論づけています。いじめが生まれる仕組みは、次のとおりです。
- 集団の中で優位に立とうとする子が、相手の「弱さ」を見つける。または「弱さ」を作り出す
- その「弱さ」を理由に、もっともらしい正当性をつくる(「あいつはみんなに迷惑をかけている」など)
- 周囲の支持を集め、相手を孤立させ、弱い立場に追いこむ
- 優位に立った側が、その力を乱用し続ける
「自分にも原因がある」と思わされる被害者
この仕組みの怖いところは、被害の子が「自分にも悪いところがある」と思わされていくことです。私は現場でいじめ対応をしていたとき、被害の子が「いじめられるのは自分にも原因がある」と口にする場面を、何度も見てきました。
理由があればいじめてもよい、ということは絶対にありません。教師は、被害の子に「あなたは悪くない」と、はっきり伝える必要があります。
教師が危機感をもつべき場面
子どもが誰かの「弱さ」を指摘し、それに同調する声が広がっている場面。これは、いじめの入り口です。
- 「あいつ、空気読めないよね」
- 「あの子がいるから、班がまとまらない」
- 「みんな迷惑してるよ」
こうした言葉を耳にしたら、「いじめに発展するかもしれない」という危機感をもって、早めに集団に働きかけてください。ターゲットになりやすい子については、ターゲットになりやすい子と、学校がすべき配慮で解説します。
出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・4節、第2・5節、森田洋司『いじめとは何か』(中公新書)
