この記事の3行まとめ
- 聴き取りは、被害・加害・見ていた子から、できれば下校までに終えます。
- 被害の子にはまず安心を。加害の子には、なぜしたのか、背景までていねいに聴きます。
- 学校で統一した「聴き取りメモ」を使えば、聴き直しを防げます。

誰から、いつまでに
聴き取りの対象は、被害の子、加害の子、そして見ていた子です。重大な事案では、学年全員が対象になることもあります。
理想は、子どもが下校するまでに聴き取りを終えることです。原則として、1人の子に対して教師2人(聴き取り役と記録役)で行います。
確かめること
いつ、どこで、誰と誰の間で、何がきっかけで、どんな言葉が交わされ、何が行われたのか。それを見ていたのは誰で、その子たちの目にはどう映っていたのか。これらを確かめずに、指導はできません。
相手別の聴き方
被害の子:まず安心させる
被害の子は、深く傷ついています。最初に「先生たちが必ず守る」と伝えてください。
また、被害の子の多くは「自分にも悪いところがある」と思いこんでいます。国の基本方針も、いじめられている子にも責任があるという考え方はあってはならず、「あなたが悪いのではない」とはっきり伝えるよう求めています。
加害の子:理由と背景まで聴く
加害の子への聴き取りのポイントは、「どうしてこのようなことをしてしまったのか」をていねいに聴き出すことです。
理由を聴き、気持ちを受け止めたうえで、してしまったことはいけないと、毅然と指導する。そうすることで、子どもは「先生は自分の話を聴いたうえで叱ってくれた」と感じます。
この聴き取りは、あとの家庭訪問でも生きてきます。加害の子の保護者に「お子さんの話も時間をかけて聴きました」と伝えられれば、「学校は被害者の味方ばかりする」という反発を防げます。
見ていた子:事実を確かめる
見ていた子からは、事実関係とともに、その場面がどう見えたかを聴きます。話してくれたことで、その子が不利にならないよう配慮してください。
話が合わないとき
加害の子が複数いて、話がかみ合わないことがあります。その場合は、話が合うまで確認を重ねます。最終的にうそをついていた子には、それが解決を長引かせたことを、きちんと指導してください。
聴き取りメモの7項目
聴き取りが不十分で、何度もやり直すことがあります。学校で統一した「聴き取りメモ」を用意しておきましょう。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| ① 当事者 | 誰が誰をいじめているのか |
| ② 時間と場所 | いつ、どこで起きたのか |
| ③ 期間 | いつごろから、どのくらい続いているのか |
| ④ 内容 | どんないじめで、どんな被害を受けたのか |
| ⑤ 背景 | いじめのきっかけは何か |
| ⑥ 要因 | いじめをしてしまった動機は何か |
| ⑦ 心情 | 今、どう思っているのか |
聴き取りメモには、聴き取った日時、場所、聴き取り役と記録役の名前も記入します。子どもの言葉は、できるだけそのまま書き残してください。
スピーディーに、ていねいに
聴き取りをおろそかにすれば、いじめは解消できません。スピードとていねいさ。この両方が、いじめ対応の基本です。
次回は、ステップ4:いじめの判断と「5つの視点・3つの指導段階」を解説します。
出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・17節、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)
