いじめが起きたら:学校対応マニュアル

いじめ対応ステップ4:いじめの判断と「5つの視点・3つの指導段階」

あらせん(荒井隆一)あらせん (更新 2026年10月30日)
この記事の目次
  1. 第2回緊急対策会議の目的
  2. いじめかどうかの判断
  3. 方針を立てる「5つの視点」
  4. 加害の子への「3つの指導段階」
  5. 保護者に伝える内容を確認する

この記事の3行まとめ

  • 第2回緊急対策会議で、いじめかどうかを判断し、対応方針と保護者への伝え方を決めます。
  • 方針は「被害の子を守りきる」ことを大前提に、5つの視点で考えます。
  • 加害の子への指導は「認識する→反省する→責任をとる」の3段階で進めます。

第2回緊急対策会議の目的

聴き取りを終えたら、第2回緊急対策会議を開きます。目的は次の4つです。

  1. いじめの有無を判断する
  2. 今後の対応方針を決める
  3. 被害・加害の子の保護者に伝える内容と方針を確認する
  4. 誰が保護者に伝えるかを決める

いじめかどうかの判断

判断は、法律のいじめの定義にもとづいて行います。最も大切なのは、被害の子が心身の苦痛を感じているかどうかです。本人が否定している場合も、表情や様子、周りの状況から客観的に判断します(いじめの定義は「4つの要素」で覚える)。

方針を立てる「5つの視点」

視点目的具体的な手立ての例
1. 被害の子安心させ、自尊感情を回復させる複数の教師で見守る、登下校に大人がつく、相談できる先生を決める、帰りに「今日は大丈夫だった?」と声をかける
2. 被害の子の保護者正確な事実を伝え、安心してもらうつらい気持ちを受け止める、具体的な守り方を示す、継続して連絡を取り合う
3. 加害の子事の重大さを理解させ、心から謝罪できるよう導く毅然と指導する、背景のストレスに手当てする、深刻な場合は別室での学習や警察との連携も
4. 加害の子の保護者重大さを理解してもらい、家庭での指導に協力を得る被害の深刻さを率直に伝える、子どもの話を時間をかけて聴いたことを伝える
5. 周りの子ども観衆や傍観者を仲裁者に変えるいじめは許されないと毅然と示す、見て見ぬふりもいじめを支えると伝える
「○○学校いじめ対応マニュアル」(イラスト)
学校の対応マニュアルに沿って、方針を立てる。(イラスト:広野りお)

被害の子への手立てで大切なのは、「もういじめは起こらない」「先生が守ってくれる」と思えることです。そして、「自分にも問題がある」「自分なんていないほうがいい」と傷ついた心に、「あなたは悪くない」と伝え続けることです。

加害の子については、「人は誰でも失敗する。これをきっかけに、本当に強くやさしい人に変われる」という、成長を支える視点も欠かせません。

加害の子への「3つの指導段階」

いじめ解消の最大の焦点は、加害の子が心から謝罪できるかどうかです。そこに向けて、3つの段階で指導します。

段階目標
第1段階:認識する自分の行為が、相手とその家族を苦しめた事実を理解する
第2段階:反省する人を傷つける行為を二度としないと誓う
第3段階:責任をとる相手に心から謝罪し、その後のふるまいで相手を安心させる

会議では、聴き取りの内容から「今、加害の子はどの段階にいるか」「第3段階までどのくらいかかるか」を確認し、いつまでに、どんな指導で進めるかを決めます。

保護者に伝える内容を確認する

保護者に、不確かな情報を伝えてはいけません。不正確な情報が学校への不信を生み、その後の対応に追われる。そんなケースを、私は何度も見てきました。

  • 現時点で伝えられる事実は何か
  • 伝えるべき学校の対応方針は何か

この2点を会議で確かめ、保護者には必ず複数の教師で、対面で伝えます。電話で済ませず、担任任せにもしません。

方針がしっかりしていれば、家庭訪問で保護者を味方にできます。次回は、ステップ5〜7:その日のうちの家庭訪問を解説します。

出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・17節、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)

あらせん(荒井隆一)
この記事を書いた人 あらせん(荒井隆一)

小学校校長。書家。ことわざの達人。SUNPEACE 理事長、情熱教師塾 塾長。第63回読売教育賞 最優秀賞。著書『いじめ2.0〜新しいいじめとの戦い方〜』。

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