この記事の3行まとめ
- 家庭訪問は、聴き取りをしたその日のうちに、複数の教師で行います。
- 被害の家庭には「必ず守る」、加害の家庭には「事の重大さ」と「お子さんも大切にしている」ことを伝えます。
- 第3回緊急対策会議で保護者の要望をふまえて方針を直し、翌朝からの見守り体制を決めます。
なぜ「その日のうち」なのか
国の基本方針は、家庭訪問などにより、その日のうちに迅速に保護者に事実関係を伝えるよう求めています。
日をまたぐと、被害の家庭は「学校は動いてくれない」と不信を募らせます。加害の家庭では、事実を隠そうとする動きが出ることもあります。だから、その日のうちなのです。
ステップ5:被害の子の家庭訪問

目的
正確な事実をていねいに伝えること。そして、被害の子と保護者に「学校は必ず守ってくれる」と安心してもらうことです。
伝え方の例
| 伝えること | 言葉の例 |
|---|---|
| 事実 | 「今日、○○さんが△△されていたことがわかりました。聴き取りでわかったことをお伝えします」 |
| 守り方 | 「明日から、休み時間は教師が教室にいます。登下校も見守ります」 |
| 加害の子への指導 | 「相手の子が心から謝罪できるよう、学校として指導していきます」 |
| 秘密と安心 | 「お子さんが話してくれたことで、不利になることは決してありません」 |
| これから | 「ご家庭で気になることがあれば、どんな小さなことでもご連絡ください」 |
被害の子が信頼している先生がいれば、家庭訪問に同席してもらい、今後の相談相手として紹介しましょう。
ステップ6:加害の子の家庭訪問
目的
いじめ対応でトラブルになりやすいのが、加害の子の保護者です。「うちの子だけが悪者か」「学校は被害者の味方ばかりする」と反発し、大人同士の問題に発展することがあります。
家庭訪問の目的は、保護者に事の重大さを理解してもらうこと。そして、「わが子も大切にされている」と感じてもらうことです。
伝え方の例
| 伝えること | 言葉の例 |
|---|---|
| 事実と被害の深刻さ | 「○○さんは、とても傷ついています。ご家族もつらい思いをされています」 |
| 子どもの話を聴いたこと | 「お子さんからも、なぜそうしてしまったのか、時間をかけて話を聴きました」 |
| 学校の姿勢 | 「いじめは決して許されません。同時に、これをきっかけにお子さんが成長できるよう、学校も支えます」 |
| 家庭へのお願い | 「ご家庭でも、お子さんと話をしていただけますか」 |
保護者自身が子育てに悩んでいることもあります。その場合は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを紹介してください。
ステップ7:第3回緊急対策会議
家庭訪問のあと、その日のうちに第3回の会議を開きます。目的は、家庭訪問の内容を確認することと、翌日からの対応を決めることです。
保護者の要望をふまえて方針を直す
保護者からは、さまざまな要望が出ます。応えるべきものもあれば、時間をかけて理解を求めるべきものもあります。
- 教室に入れないので、別室で過ごさせてほしい
- 登校時間や登校班を変えてほしい
- もっとていねいに聴き取りをしてほしい
- 相手の子に、教室の前で謝らせてほしい
翌朝からの見守り体制を決める
- 集合場所に来なかったら、誰が迎えに行くか
- 玄関では誰が迎えるか
- 朝、休み時間、昼休み、掃除の時間は、誰がどこで見守るか
- 授業中は担任だけで大丈夫か
- 明日の指導は、誰がいつ行うか
最悪の場合も想定して、体制を整えておきましょう。保護者向けには、学校へのいじめ相談の仕方と、学校からもらうべき回答で、この流れを保護者の目線から紹介しています。
次回は、ステップ8〜10:教育委員会への報告、指導、謝罪の場づくりを解説します。
出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・17節、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)
