この記事の3行まとめ
- いじめと判断したら、教育委員会へ速やかに報告します。目安は判断から24時間以内です。
- 指導は、子どもと信頼関係のある教師が担当し、組織で経過を確かめながら進めます。
- 謝罪の場は、学校で、保護者同席のもと、教師の進行で行います。
ステップ8:教育委員会への報告
学校がいじめと判断したら、校長の責任で教育委員会(学校の設置者)に報告します。

私は市の教育委員会に勤めていた当時、被害の子の保護者から「○○学校から、いじめの報告は入っていますか」と、怒りと不信のこもった電話を受けることがしばしばありました。そのとき「報告は入っています。いじめと判断し、組織で対応していると聞いています」と答えると、保護者が落ち着かれたケースがたくさんありました。速やかな報告は、保護者の信頼にもつながるのです。
- 重大ないじめは、認知した時点ですぐに口頭で報告する
- それ以外は、教育委員会が決めた方法で報告する
- 決まっていなければ、判断から24時間以内に文書で報告するのが望ましい
記録係は、第3回緊急対策会議が終わる時点で「いじめ報告書(速報)」ができあがっている状態を目指してください。
ステップ9:指導
| 対象 | 指導の目的 |
|---|---|
| 被害の子 | 安心させること、自尊感情を回復させること |
| 加害の子 | 自分の行為を正しく認識し、反省し、責任をとる(心から謝罪する)こと |
信頼関係のある教師が指導する
心理学でいう「ラポール(信頼関係)」がある相手には、子どもは本音を話し、言葉を素直に受け止められます。担任による指導が基本ですが、担任との信頼関係が築けていない場合は、信頼している別の教師に任せることも考えてください。担任にこだわることより、子どもを守ることが大切です。
一人で抱えこまない
指導の経過は、学校いじめ対策組織で確かめながら進めます。国の基本方針も、被害の子が信頼できる人と連携し、寄り添い支える体制をつくるよう求めています。
ステップ10:謝罪の場

謝罪の目的は「被害の子の安心」
謝罪は、加害の子が心から謝れる状態になってから行います。目的は、被害の子が「これでいじめは止まる。もう大丈夫」と安心できることです。被害の子と保護者が謝罪を望んでいるかどうかも、事前に確認してください。
保護者同席で、学校で行う
謝罪は、保護者同席のもとで行います。自分の親が一緒に頭を下げる姿は、加害の子にとって、二度と繰り返してはいけないと思う大きなきっかけになります。
また、謝罪の場は必ず学校に設け、教師が進行します。保護者同士だけで謝罪を済ませようとして、感情的な言い合いになり、かえってこじれるケースがあるからです。
謝罪の場の進行台本
| 順番 | 内容 | 話す人 |
|---|---|---|
| 1 | 学校からの謝罪(学校の管理下で起きたことへのおわび) | 校長 |
| 2 | 経過の報告(発生から指導までの経過、被害の子と保護者のつらさ、加害の子の反省) | 生徒指導担当 |
| 3 | 加害の子と保護者からの謝罪 | 加害の子・保護者 |
| 4 | 被害の子と保護者からの思い | 被害の子・保護者 |
| 5 | 今後の対応の説明(3か月の見守りの具体的な内容) | 生徒指導担当 |
| 6 | まとめ(学校・家庭・地域で二度と起こさない決意) | 校長 |
加害の子と保護者にも、事前に謝罪の目的と流れを説明しておきましょう。
謝罪で終わりではない
国の基本方針は、いじめは謝罪をもって安易に解消とすることはできない、としています。謝罪のあとの3か月が勝負です。次回は、ステップ11〜12:3か月の見守りと「解消」の判断を解説します。
出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・17節、いじめ防止対策推進法 第23条、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)
