この記事の3行まとめ
- 重大事態は「生命・心身・財産への重大な被害」と「いじめによる長期欠席」の2種類です。
- 子どもや保護者から申し立てがあれば、学校の見立てにかかわらず重大事態として調査に当たります。
- 2024年8月の改訂ガイドラインは、平時からの備えとチェックリストによる点検を求めています。
重大事態とは
いじめ防止対策推進法第28条は、次の2つを「重大事態」と定めています。
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 生命心身財産重大事態 | いじめにより、子どもの生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑いがある | 大きなけが、精神疾患の発症、金品を多額に取られた |
| 不登校重大事態 | いじめにより、相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある | 年間30日を目安とした欠席 |
文部科学省の調査では、2024年度に起きた重大事態は1,405件でした。
「疑い」の段階で動く
重大事態は、いじめによる被害が確定してからではなく、「疑い」がある段階で対応を始めます。
国のガイドラインは、子どもや保護者から「いじめにより重大な被害が生じた」という申し立てがあったときは、学校が「いじめの結果ではない」「重大事態とはいえない」と考えていても、重大事態が発生したものとして報告・調査に当たることを求めています。
重大事態の対応の流れ
- 発生の報告:学校は、設置者(教育委員会など)を通じて、地方公共団体の長などに報告する
- 調査組織をつくる:学校または設置者が調査の主体となり、事案に応じて弁護士、医師、心理や福祉の専門家など第三者を加える
- 被害の子・保護者への事前説明:調査を始める前に、調査の目的、方法、調査組織の構成などを説明する
- 調査の実施:アンケートや聴き取りで事実関係を明らかにする
- 結果の説明と報告:被害の子と保護者に調査結果を説明し、地方公共団体の長などに報告する
- 再発防止:調査で明らかになった課題をもとに、再発防止策を実行する
調査の目的は、責任追及ではなく、事実関係を明らかにし、同じことを繰り返さないことにあります。
改訂のポイント:平時からの備え
2024年8月30日に改訂されたガイドラインでは、重大事態を防ぎ、起きたときに適切に対応するための「平時からの備え」が新たに盛りこまれました。あわせて、学校や教育委員会が自分たちの備えを点検するためのチェックリストも示されています。
今から整えておきたい備え
- 学校いじめ防止基本方針を、実態に合わせて見直し、保護者や地域に示しておく
- 学校いじめ対策組織が実際に機能しているか(報告の流れ、会議の開き方、記録の様式)を点検する
- いじめアンケートや対応記録を、決められた期間きちんと保存する
- 重大事態が起きたときの報告先、調査組織のつくり方、第三者の候補を、教育委員会と確認しておく
- 教職員研修で、重大事態の定義と「申し立てがあれば調査する」という原則を共有する
記録が学校を守る
重大事態の調査で必ず問われるのが、「学校はそれまでに何をしてきたか」です。日ごろのアンケート、聴き取りメモ、会議録が、学校の対応を示す資料になります。12ステップの各段階で記録を残す習慣を、平時から身につけておきましょう(いじめはチームで対応する)。

保護者向けには、学校のいじめ対応に納得できないときで、重大事態の申し立て方を紹介しています。
出典:いじめ防止対策推進法 第28条〜第33条、文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(令和6年8月改訂、文部科学省のいじめ対策ページ)、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
