いじめが起きない学級づくり

いじめ予防のカギは「自己有用感」。自尊感情との違いと、学級で高める4つの手立て

あらせん(荒井隆一)あらせん (更新 2026年10月30日)
この記事の目次
  1. いじめが起こりにくい集団の条件
  2. 自己有用感とは
  3. 自尊感情との違い
  4. いじめが起こりにくい集団ができるまで
  5. 3つの要素:存在感・承認・貢献
  6. 学級で高める4つの手立て

この記事の3行まとめ

  • 自己有用感とは、「人の役に立った」「感謝された」「認められた」ことから生まれる、自分への肯定的な評価です。
  • 自尊感情が「自分で自分をどう見るか」なのに対し、自己有用感は「他者との関係の中で」生まれます。
  • 教師が子どもをよく見て認め、活躍の場をつくり、子ども同士が認め合う場を設けることで高まります。
笑顔で手をあげる子どもたち(イラスト)
「自分は役に立っている」と感じられる集団に、いじめは起こりにくい。(イラスト:広野りお)

いじめが起こりにくい集団の条件

いじめは集団の中で起こります。では、いじめが起こりにくい集団にするには、どうすればよいのでしょうか。

国立教育政策研究所の研究から見えてきた答えの一つが、一人一人の「自己有用感」を高めることです。自己有用感が高い集団では、いじめが起こりにくいと考えられています。

自己有用感とは

国立教育政策研究所は、自己有用感を次のように説明しています。

人の役に立った、人から感謝された、人から認められた、という自分と他者(集団や社会)との関係を自他共に肯定的に受け入れられることで生まれる、自己に対する肯定的な評価

ポイントは、他者からの評価を感じたうえで生まれる、という点です。「学級でいちばん字がうまい」という自信ではなく、「英語が得意だから代表に選ばれた。みんなの期待に応えたい」という自信。学級でいちばんかどうかは、実は重要ではありません。

自尊感情との違い

自尊感情自己有用感
中心にあるもの自分による自己評価他者からの評価を受けた自己評価
生まれる場面一人でも生まれる人との関係の中で生まれる
社会性とのつながり必ずしも結びつかない結びつきやすい

どちらも自分を肯定的にとらえる点は同じです。ただ、他者の存在を前提としない自尊感情は、社会性に結びつくとは限りません。

アメリカのカリフォルニア州では1980年代後半、子どもの自尊感情を高めれば問題行動が減るのではないかと考え、大規模な研究が行われました。しかし、問題行動と自尊感情の間には、はっきりした関係が見られなかったと報告されています。

大切なのは、自己有用感に裏づけられた自尊感情を育てることです。

いじめが起こりにくい集団ができるまで

  1. 日々の教育活動に「自己有用感」を育む視点を入れる
  2. 社会性が育ち、他者を攻撃する可能性が低くなる
  3. いじめが起こりにくい集団ができる

3つの要素:存在感・承認・貢献

栃木県教育委員会の研究では、自己有用感を次の3つの要素でとらえています。

要素子どもの実感
存在感自分は、みんなの中で価値ある存在だ
貢献自分は、みんなの役に立つ行動をしている
承認自分の行動や存在は、みんなから認められている

その土台には、安心感と信頼関係が必要です。

学級で高める4つの手立て

  1. 教師が子どもをよく見て、その子に応じて認める
  2. 教師が子どもの話をじっくり聴き、子どもに話しかける
  3. 子どもに活躍の場を与え、見守り、やり遂げさせ、達成感を味わわせる
  4. 子ども同士が認め合う場を設け、人間関係づくりを支える

特別なことではありません。毎日の授業、係活動、行事の中に、この4つの視点を入れていくことが大切です。

1つ目の「認める」ことには、ちょっとしたコツがあります。くわしくは「褒める」と「認める」は違うで紹介します。私の学級で実際に自己有用感が育った例は、大縄跳びの奇跡とPEACE FORUMの奇跡で紹介しています。

出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・18節、国立教育政策研究所「生徒指導リーフ『自尊感情』?それとも、『自己有用感』?」

あらせん(荒井隆一)
この記事を書いた人 あらせん(荒井隆一)

小学校校長。書家。ことわざの達人。SUNPEACE 理事長、情熱教師塾 塾長。第63回読売教育賞 最優秀賞。著書『いじめ2.0〜新しいいじめとの戦い方〜』。

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