この記事の3行まとめ
- いじめのターゲットになりやすいのは、集団の中の少数派(マイノリティ)の子です。
- 国の基本方針は、発達障害、外国につながる子、性的マイノリティ、被災した子などへの配慮を求めています。
- 2022年改訂の「生徒指導提要」では、ヤングケアラーなど家庭に困難を抱える子への支援も示されています。
少数派の子が狙われやすい
いじめは、優位に立とうとする子が相手の「弱さ」を見つけ、利用することで生まれます(いじめが生まれる仕組み)。その「弱さ」にされやすいのが、集団の中で少数派の子です。
以前、いじめをめぐる裁判を数多く担当してきた弁護士の方から話を聞く機会がありました。その方も、深刻な被害にあった子どもの共通点として、少数派であることを挙げていました。
加害の側は、たとえば次のような「理屈」をつくります。
- 「みんなと違うことをする。合わせるべきだ」
- 「日本のやり方をわかっていない」
- 「男なのに(女なのに)変だ」
国の基本方針が配慮を求める子どもたち
「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)は、学校として特に配慮が必要な子どもとして、次のような例を挙げています。
| 配慮が必要な子 | 学校がすべきこと |
|---|---|
| 発達障害を含む障害のある子 | 個別の支援計画などを活用し、特性をふまえた指導・支援を行う |
| 海外から帰国した子、外国人の子、国際結婚の家庭の子 | 言語や文化の違いから学校生活に困難を抱えやすいことに配慮する |
| 性同一性障害や性的指向・性自認に関わる子 | 教職員が正しい理解を深め、必要な対応を周知する |
| 東日本大震災で被災した子、原発事故で避難している子 | 心身への影響に配慮し、見守りを行う |
改訂「生徒指導提要」が示す多様な背景
2022年12月に改訂された「生徒指導提要」では、多様な背景をもつ子どもへの理解と支援が、独立した章として整理されました。発達障害や精神疾患に加え、経済的困難やヤングケアラーなど、家庭に困難を抱える子どもへの支援も示されています。

家庭の事情で身なりが整わない、持ち物がそろわない、遅刻が多い。そうした子が、からかいの対象になることがあります。いじめへの対応と同時に、スクールソーシャルワーカーなどと連携した家庭への支援も考えてください。
担任ができる見守りの工夫
- 学級の中で、少数派になっている子を把握しておく
- 「違い」を笑う言葉が出たら、その場で止め、学級全体に語る
- 違いを認め合う授業や学級活動を、年間計画に入れる
- 気になる子の情報は、学校いじめ対策組織や養護教諭と共有する
少数派の子を守ることは、学級全員にとって安心できる居場所をつくることにつながります。
出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・6節、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月改訂)
