この記事の3行まとめ
- いじめの多くは同じ学級の中、それも「よく遊ぶ友だち」の間で起きています。
- いじめは、被害者・加害者・観衆・傍観者の「四層構造」でできています。
- 観衆や傍観者を「仲裁者」に変えることが、いじめを止める集団づくりのカギです。
加害と被害は「仲良し」の間で起きる
1997年に全国の小学5年生から中学3年生、6,906人を対象に行われた調査では、加害の子の約8割が被害の子と同じ学級でした。残りの約2割も、同じ学年の子でした。
さらに、いじめが始まる前の関係をたずねると、「よく遊ぶ友だち」が最も多く、「ときどき話す友だち」と合わせると約8割にのぼりました。
いじめが明らかになったあと、「仲良しだと思っていたので、まさか」と驚く教師は少なくありません。いじめは、いつも一緒にいる仲間の中でこそ起きやすい。このことを前提に、子どもたちを見てください。
いじめの四層構造
森田洋司さんは、いじめを次の4つの層でとらえました。この考え方は、国の基本方針でも取り上げられています。

| 層 | どんな子か |
|---|---|
| 被害者 | いじめを受けている子 |
| 加害者 | いじめをしている子 |
| 観衆 | はやし立てたり、面白がったりして見ている子 |
| 傍観者 | 見て見ぬふりをしている子 |
森田さんの研究では、観衆や傍観者が多い学級ほど、いじめが深刻になることがわかっています。止めようとしない子が多いほど、いじめはエスカレートするのです。
観衆・傍観者から「仲裁者」へ
逆にいえば、「いじめは許さない」という子が多い集団では、いじめは深刻になりません。たとえば、いじめが起きたときに、
- はやし立てずに「やめろよ」と言う
- 「それは恥ずかしいことだよ」と止めに入る
- すぐに先生に知らせる
こうした子が多い学級では、いじめをしにくい雰囲気が生まれます。観衆や傍観者を「仲裁者」に変えること。これが、いじめが起きにくい環境をつくるカギです。
集団への指導のポイント
- いじめが起きたら、加害・被害の子だけでなく、学級全体に語る
- 「見ていただけ」も、いじめを支えてしまうことを伝える
- 先生に知らせることは「チクり」ではなく、友だちを守る勇気ある行動だと伝える
- 直接止めるのが怖い子には、先生に知らせる方法(手紙、アンケート、端末の相談フォームなど)を用意しておく
傍観者を仲裁者に変える具体的な授業のアイデアは、傍観者を仲裁者に変える授業アイデアで紹介します。
出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・9節、第2・10節、森田洋司『いじめとは何か』(中公新書)、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)
