先生のためのいじめ基礎講座

いじめは仲良しグループで起きる。「いじめの四層構造」とは

あらせん(荒井隆一)あらせん (更新 2026年10月30日)
この記事の目次
  1. 加害と被害は「仲良し」の間で起きる
  2. いじめの四層構造
  3. 観衆・傍観者から「仲裁者」へ
  4. 集団への指導のポイント

この記事の3行まとめ

  • いじめの多くは同じ学級の中、それも「よく遊ぶ友だち」の間で起きています。
  • いじめは、被害者・加害者・観衆・傍観者の「四層構造」でできています。
  • 観衆や傍観者を「仲裁者」に変えることが、いじめを止める集団づくりのカギです。

加害と被害は「仲良し」の間で起きる

1997年に全国の小学5年生から中学3年生、6,906人を対象に行われた調査では、加害の子の約8割が被害の子と同じ学級でした。残りの約2割も、同じ学年の子でした。

さらに、いじめが始まる前の関係をたずねると、「よく遊ぶ友だち」が最も多く、「ときどき話す友だち」と合わせると約8割にのぼりました。

いじめが明らかになったあと、「仲良しだと思っていたので、まさか」と驚く教師は少なくありません。いじめは、いつも一緒にいる仲間の中でこそ起きやすい。このことを前提に、子どもたちを見てください。

いじめの四層構造

森田洋司さんは、いじめを次の4つの層でとらえました。この考え方は、国の基本方針でも取り上げられています。

四層構造(被害者・加害者・観衆・傍観者)(イラスト)
被害者と加害者を、観衆と傍観者が取り囲んでいます。(イラスト:広野りお)
層どんな子か
被害者いじめを受けている子
加害者いじめをしている子
観衆はやし立てたり、面白がったりして見ている子
傍観者見て見ぬふりをしている子

森田さんの研究では、観衆や傍観者が多い学級ほど、いじめが深刻になることがわかっています。止めようとしない子が多いほど、いじめはエスカレートするのです。

観衆・傍観者から「仲裁者」へ

逆にいえば、「いじめは許さない」という子が多い集団では、いじめは深刻になりません。たとえば、いじめが起きたときに、

  • はやし立てずに「やめろよ」と言う
  • 「それは恥ずかしいことだよ」と止めに入る
  • すぐに先生に知らせる

こうした子が多い学級では、いじめをしにくい雰囲気が生まれます。観衆や傍観者を「仲裁者」に変えること。これが、いじめが起きにくい環境をつくるカギです。

集団への指導のポイント

  • いじめが起きたら、加害・被害の子だけでなく、学級全体に語る
  • 「見ていただけ」も、いじめを支えてしまうことを伝える
  • 先生に知らせることは「チクり」ではなく、友だちを守る勇気ある行動だと伝える
  • 直接止めるのが怖い子には、先生に知らせる方法(手紙、アンケート、端末の相談フォームなど)を用意しておく

傍観者を仲裁者に変える具体的な授業のアイデアは、傍観者を仲裁者に変える授業アイデアで紹介します。

出典:荒井隆一『いじめ2.0』第2・9節、第2・10節、森田洋司『いじめとは何か』(中公新書)、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)

あらせん(荒井隆一)
この記事を書いた人 あらせん(荒井隆一)

小学校校長。書家。ことわざの達人。SUNPEACE 理事長、情熱教師塾 塾長。第63回読売教育賞 最優秀賞。著書『いじめ2.0〜新しいいじめとの戦い方〜』。

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