第1章 図書室の本(現在)

現在。セミの声がひびく、夏の昼の学校。

来週の『戦後80年』平和学習。準備は難航している。
和花暑っつう。平和学習ってアバウトすぎるわあ。わたし平成生まれやで。

和花ふぅ…。

和花なんか伝えられたらええんやけど。

和花なにこれ『知識は経験に能わず』…今いちばんグサッてくるタイトルやわ。
和花経験するのが一番の学びなんやけど、到底無理な話やからなあ。
ギシッ…
和花学校もかなり年季が入ってるなあ。

ガタッ!
本棚の上から、一冊の本が落ちてくる。

和花あっぶな! なんなんこれ。蔵書?

和花めっちゃ埃被ってる。

和花『三田、空襲?』…手書きやん! なんでこんな本が、学校に?

一九四五年七月十九日午前十一時二十分ごろ、三田市上空に米国軍艦載機『グラマン』が二機、来襲。四戸の農家全焼、五人の犠牲者を出す空襲となった。

ページをめくるたびに光が増していく。本当に戦闘機の音が聞こえる。
キィィィン

和花なんやったんや、今の光は…。

窓の外には、見慣れない古い校舎。
和花疲れてるんかなあ。こんなに暑い日に図書室に籠ってるから、熱中症にでもなりかけとるんかなあ。
この漫画は、あらや新さん作の劇『三田空襲を忘れない』(台本)をもとにしたフィクションです。劇中の『グラマン』は劇の表現で、史実の機種は、杉山雅崇さんの調査で P-51 だとわかっています。
劇「三田空襲を忘れない」とは? / 三田空襲とは? / 体験者の証言 / 授業で使うワークシート / 一冊のPDFで読む
劇「三田空襲を忘れない」とは? / 三田空襲とは? / 体験者の証言 / 授業で使うワークシート / 一冊のPDFで読む
