第2章 1945年の学校

1945年7月19日。終業式の日。

和花あれ、なんだか校舎が新しい気がする…。

和花こら! 廊下は走っちゃいけません! 今日は終業式で終わりですよ! 早く集団下校の準備をしなさい!
子どもたちはーい!

上級生え? だれ?
子ども知らん、知らん。
子どもこの学校の先生?

窓の外の校庭には、男女に分かれた子どもたち。みんな防空頭巾に冬服。
和花校庭が狭い…。

和花君たち、ちょっと質問に答えて! 今日って何月何日?

子ども七月の十九日やん。終業式やで。
和花何年の!
子ども一九四五年。昭和二〇年や。

和花昭和二〇年…。

和花一九四五年の七月十九日。三田空襲のあった日。まだ間に合う!
和花みんな、よく聞いて! これから集団下校する間に、米軍のグラマンが二機、空襲に来る。十一時二十分ごろ!

上級生あほ言わんといて! 日本はアメリカに勝ってるんやろ! じゃあ僕らがやられる道理はない!
上級生そ、そうや。先生みんな、日本がもう少しで勝つって言うてる。

先生こら! あんたら! 集団下校や言うてるやろ! なんで規律を守られへんねや!
先生今にも兵隊さんは、あんたらを守るために戦ってる。申し訳が立たんと思わんのか!
子どもたちごめんなさい!

先生あなたは誰ですか?
和花職員です。この時代ではまだですが。集団下校を中止してください。
先生無理です。警戒警報が解除されている今が、子どもたちを帰すのに適している。
和花ああ! 頭硬いなあ! もういいです。

和花確か、役場が会議中のはず。そちらに訴えます!
先生あなたみたいな怪しい人を、自由に歩かせるわけないじゃないですか!
この漫画は、あらや新さん作の劇『三田空襲を忘れない』(台本)をもとにしたフィクションです。劇中の『グラマン』は劇の表現で、史実の機種は、杉山雅崇さんの調査で P-51 だとわかっています。
劇「三田空襲を忘れない」とは? / 三田空襲とは? / 体験者の証言 / 授業で使うワークシート / 一冊のPDFで読む
劇「三田空襲を忘れない」とは? / 三田空襲とは? / 体験者の証言 / 授業で使うワークシート / 一冊のPDFで読む
