第3章 町役場

三輪町役場。

和花失礼します。和花です。
町長おや、どちらさん?

和花一九四五年七月十九日に、三田は空襲に遭います。犠牲者は五名。うち、子どもが四名です。
和花今すぐ、集団下校を中止してください。
中嶋どう思いますか?

町長信ぴょう性に欠ける。
先生それに、空襲警報はもう解除されている。

和花もう時間がありません! すぐそこまで、グラマンが迫っているんです!
町長グラマン? 確かラジオではB29と言っていましたが…。

町長今初めて出会った人の意見を鵜呑みにして、何百人もを動かすほど平和ボケしてません。
和花それじゃ遅い!
ブゥゥゥン

ガーン!
役場の前の電柱の碍子が割れ落ち、電線が五、六本、垂れ下がってきた。

中嶋そら! 空襲だ! 皆様、お気を付けを!
一同クワバラ、クワバラ…。

和花だから言うたんやんか!
空襲警報のサイレン。
中嶋・和花今更遅い!

中嶋あれは…火事や! 町長! 高次から火事や!

電話が鳴る。
警察の声(電話)こちら警察。高次が火事です。消火配置しなさい。
町長警察から、消火配置せえって。

中嶋じゃあ僕が行きます!
町長あかん! 今は空襲警報発令中や。むやみに外に出て、命を無くすわけにはいかん。
和花子どもたちは…!
中嶋命は大切にせなあかん。
この漫画は、あらや新さん作の劇『三田空襲を忘れない』(台本)をもとにしたフィクションです。劇中の『グラマン』は劇の表現で、史実の機種は、杉山雅崇さんの調査で P-51 だとわかっています。
劇「三田空襲を忘れない」とは? / 三田空襲とは? / 体験者の証言 / 授業で使うワークシート / 一冊のPDFで読む
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