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【SUNPEACEの活動】劇「三田空襲を忘れない」を演じた2つの演劇部――2018年と2025年、高校生がつないだ舞台

あらせん(荒井隆一)あらせん (更新 2026年10月30日)
この記事の目次
  1. この動画でわかること
  2. 劇の紹介:「三田空襲を忘れない」
  3. 上演の記録
  4. 演じた高校生たちの思い
  5. 劇の見どころ
  6. 劇を見た人たちの声
  7. 動画を見る
  8. 関連記事

SUNPEACEは、三田空襲を伝える行事を開き、その様子を動画に残してきました。劇「三田空襲を忘れない」(作:あらや新さん)は、2018年に元兵庫県立宝塚北高等学校演劇部が、2025年に兵庫県立三田祥雲館高等学校演劇部が上演しました。この記事では、2つの上演の記録と、演じた高校生たちの思い、そして劇を見た人たちの声を紹介します。劇のあらすじは「劇『三田空襲を忘れない』とは?」でくわしく紹介しています。

この動画でわかること

  • 2018年12月30日の「PEACE RALLY FINAL」で、学生劇団が劇を上演し、最後に体験者の中嶋宏次さんが舞台に立ったこと
  • 2018年の劇が「戦後80年の2025年に向けて平和を考えよう」という願いをこめて作られたこと
  • 2025年12月27日の「ピースラリー2025」で、三田祥雲館高校演劇部が同じ劇を演じたこと
  • 「想像するしかないけれど、全力で演じた」という、高校生たちの思い
  • 劇を見た体験者の仲畑直(なかはた・ただし)さんや、司会の高校生、大向勲理事長の感想

劇の紹介:「三田空襲を忘れない」

1945年7月19日、三田市で空襲があり、4人の子どもと1人の大人が命を失いました。劇「三田空襲を忘れない」は、主人公の若い教師「和花(のどか)」が、1945年と現在を行き来しながら、平和の尊さに気づいていく物語です。上演時間は約30分です。

図書室で見つけた手書きの記録をきっかけに、和花は空襲の日の三田に来てしまいます。子どもたちや先生、役場の人たちに、空襲が来ることを必死に伝えますが、信じてもらえません。そして空襲が起き、和花は悲しみの中から、この歴史を伝え続けようと決意します。

上演の記録

2018年:PEACE RALLY FINAL(元宝塚北高校演劇部)

  • 2018年のPEACE RALLYは、9月から12月まで「エピソード1〜4」を重ねて、12月30日の「FINAL」をめざすイベントでした。9月23日のエピソード1では、完成した劇の台本が紹介されました
  • 劇の宣伝動画では、出演者が「学生、高校生も含めた9名」で、FINALに向けて練習を始めたことが紹介されています。物語は、戦後80年となる2025年に向けて、平和について考えていこうというものだと語られました(宣伝動画 0:22ごろ〜)
  • 10月21日のエピソード2では、学生劇団の一人ひとりが、劇団を作ったいきさつやFINALへの思いを語りました。12月16日のエピソード4では、劇団員が劇の一部を会場で演じ、迫真の演技で空襲の追体験を伝えました
  • 本番は、2018年12月30日、三田市総合文化センター 郷の音ホールでの「PEACE RALLY FINAL」。兵庫県「県政150周年記念 県民連携事業」として開かれ、参加者352名で満席になりました。はじめに、実行委員長のあらや新さんがあいさつをし、そのあと劇が上演されました(FINAL1の動画 0:12ごろ〜)
  • 劇の最後は、2018年の教室の場面です。2025年まであと7年という平和学習の授業に、スペシャルゲストとして、実際に三田空襲を体験した中嶋宏次さんが登場しました。劇の中の物語と、本物の体験者の声がつながる終わり方です(ノーカット版 29:17ごろ〜、30:27ごろ〜)。中嶋さんの体験は「中嶋宏次さんの証言」で紹介しています

2025年:ピースラリー2025(三田祥雲館高校演劇部)

  • 2018年の劇がめざしていた戦後80年の年、2025年12月27日に「ピースラリー2025 〜戦後80年、三田空襲を語り継ぐ〜」が開かれました。会場は三田市総合文化センター 郷の音 小ホール、約300名が参加しました。劇はプログラムの最初、開会あいさつのすぐあとに上演されました(ピースラリー2025の動画 4:23ごろ〜)
  • 2025年の上演では、主人公は「2025年」から1945年へ来てしまう教師として演じられました。戦争が終わってから80年という、上演した年に合わせた設定です(7:17ごろ〜、14:23ごろ〜)
  • 劇の最後は、現代の教室にもどった先生が、子どもたちに三田空襲のことを伝え、平和について問いかける場面で終わります(35:09ごろ〜)

ピースラリー2025のプログラム全体は、「ピースラリー2025」の記録で紹介しています。

演じた高校生たちの思い

2025年の上演のあと、三田祥雲館高校演劇部の3人の2年生が、司会の北摂三田高校放送部の生徒からインタビューを受けました(37:21ごろ〜)。

  • 主人公・のどか役の生徒:この劇をするまで、三田に空襲があったことを知らなかったそうです。部員みんなで調べ、考え、想像しながら、試行錯誤して練習しました。「部員は全員、戦争を経験していない。そういう自分たちが戦争をテーマにした劇をするのは、なかなかない重大なこと。想像するしかないけれど、全力でできた」と話し、見た人の心に劇が残っていたらうれしい、と語りました(37:51ごろ〜)
  • 上級生の子ども役の生徒:劇で防空頭巾をかぶったとき、当時を生きた人の思いが残っているように感じ、「なまはんかな気持ちではできない」と思いながら演じたそうです。練習を始めたころには、戦争の夢を見たといいます。「知らないとわからないことはたくさんある。この機会に、ぜひ知ってもらいたい」と話しました(38:56ごろ〜)
  • 現代の先生と、80年前の先生の二役を演じ、演出にも加わった生徒:事実にもとづく劇をするのは、演劇部として今回が初めてで、これまでの劇とは心がまえがちがったそうです。三田に空襲があったという事実と、二度と三田に悲しいことが起きてはいけないという思いを伝えるせりふを書き加えたこと、言葉だけでなく体全体の演技で伝わるようにしたこと、ちめいどさんの曲を使わせてもらったことを、工夫として話しました(40:20ごろ〜)

劇の見どころ

  • 「知っている未来」と「信じてもらえない今」:和花は、空襲が何時ごろに来て、何人が亡くなるかを知っています。それでも、当時の人たちにはまったく信じてもらえません。「日本は勝っている」と信じる子どもたちや、ラジオや警報の知らせを頼りにする大人たちとのすれ違いが、見る人の胸を苦しくさせます(ノーカット版 6:13ごろ〜、9:41ごろ〜、11:15ごろ〜)
  • 同じ年ごろの子どもたちの姿:舞台には、集団下校をする子どもたち、こわい上級生、学童疎開の子どもが登場します。高校生が、当時の小学生の姿を演じています(0:19ごろ〜)
  • 実際の記録にもとづく場面:空襲の時刻、飛行機が2機だったこと、亡くなった人の数、農家が焼けたことなど、劇には三田空襲の記録が織りこまれています。劇の中では飛行機を「グラマン」とよんでいますが、その後の調査では、三田を襲ったのはP-51戦闘機とみられています。詳しくは「三田空襲とは?」をご覧ください(4:02ごろ〜、21:41ごろ〜)
  • 悲しみから「伝える」決意へ:空襲を止められなかった和花が、この出来事をくり返してはならない歴史として伝え続けようと決めるところが、劇のいちばんの山場です(24:17ごろ〜)
  • 歌「PEACE」:2018年の上演では、和花の決意のあとに、PEACE RALLY FINALのために作られた歌「PEACE」が流れます(25:26ごろ〜)。この歌の2番の録音には、劇のメンバーも参加しています

劇を見た人たちの声

  • 司会の高校生:北摂三田高校放送部の2人は、「圧巻の演技だった」「登場人物の気持ちが全部伝わってきて、先生と一緒にタイムスリップしたような気持ちになった」と話しました。三田空襲の話は聞いていたけれど、同じ高校生が演じるのを見て、ちがった視点で考えることができた、とも語っています(ピースラリー2025の動画 41:50ごろ〜)
  • 体験者の仲畑直さん:劇のあとに体験を語った仲畑さんは、劇について「自分が感じていたことを、細かいところまで演じて表してくれていた」と感銘を受けたと話しました(52:34ごろ〜)。仲畑さんのお話は「仲畑直さんが語る三田空襲」で紹介しています
  • 大向勲理事長:7年前からこの活動を続け、そのたびに体験者から話を聞いてきたので、7年前の上演とはまたちがって見えた、と話しました。せりふの一つひとつから、その場所の方から聞いた話の情景が浮かんでくるそうです。劇は「追体験」であり、仲畑さんのお話は実体験から紡がれた言葉だ、と会場に伝えました(52:04ごろ〜、53:21ごろ〜)

劇に登場する役場の「中嶋」は、空襲の日に三輪町役場に勤めていた中嶋義秋さんをモデルにしています。義秋さんが残した記録は、「中嶋義秋さんの手記」で紹介しています。

動画を見る

2018年の劇は、ノーカット版(約31分)で全編を見ることができます。2025年の三田祥雲館高校演劇部の上演は、ピースラリー2025の動画の4:23ごろから、高校生へのインタビューは37:21ごろからです。

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あらせん(荒井隆一)
この記事を書いた人 あらせん(荒井隆一)

小学校校長。書家。ことわざの達人。SUNPEACE 理事長、情熱教師塾 塾長。第63回読売教育賞 最優秀賞。著書『いじめ2.0〜新しいいじめとの戦い方〜』。

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