この記事の3行まとめ
- 国のいじめ防止基本方針は、大人社会のハラスメントや差別的な振る舞いが、子どもに影響を与えると述べています。
- 525人の子どもを担任して感じたのは、「親と子は本当によく似ている」ということです。
- ネットでの誹謗中傷は、大人がしている「いじめ」です。大人が変われば、子どもも変わります。
「子どもたちは私の鏡」
私は16年間、小学校の教員として525人の子どもを担任しました。その経験から言えるのは、「親と子は本当によく似ている」ということです。親が明るくユーモアのある人なら、子どもも明るい。親が挑戦する人なら、子どもも挑戦できる子になっています。

教師も同じです。私が元気よく授業をすれば、子どもたちも元気に発言します。大切な人を亡くした翌日、落ちこんだまま教室に入ると、子どもたちの表情も沈んでいました。「私の気持ちが伝わってしまっている」と、心から反省したことを覚えています。
国の基本方針も「大人の影響」を指摘している
国の「いじめの防止等のための基本的な方針」には、次のような趣旨のことが書かれています。
- 大人社会のパワーハラスメントやセクシャルハラスメントも、いじめと同じ地平で起こる
- 他人の弱みを笑いものにしたり、暴力を肯定するように受け取られたり、異質な他者を差別したりする大人の振る舞いが、子どもに影響を与える
- いじめの問題は、学校を含めた社会全体の課題である
子どもが見ている大人の「いじめ」
| 大人の振る舞い | 子どもが受け取るメッセージ |
|---|---|
| 人の失敗や見た目を笑う番組を、大人が手をたたいて笑う | 人を笑いものにするのは、おもしろいことだ |
| SNSで、有名人や知らない人を集団でたたく | 悪いと思った相手なら、何を言ってもいい |
| 「うちの子はいじめる側だから安心」と言う | いじめる側に回れば、安全だ |
| 「社会に出たらいじめられるから、強くならないと」と見過ごす | いじめは、がまんするものだ |
最後の2つは、私が実際に聞いた言葉や話です。学校は「いじめは絶対にいけない」と教えるところです。大人がこう考えていては、子どもは守れません。
ネットの誹謗中傷は、大人の「いじめ」
今、大人の「いじめ」が最も目に見える場所は、ネットです。SNSでの誹謗中傷は社会問題になり、2025年4月には、大規模なSNS事業者に削除対応の迅速化などを求める「情報流通プラットフォーム対処法」が施行されました。
子どもは、大人のスマホの画面をよく見ています。大人がネットで誰かをたたく姿を見せれば、子どもも同じことをします。
ネットで誹謗中傷を受けたときの相談先は、大人も子どもも同じです。
- 違法・有害情報相談センター(総務省の委託事業)
- 法務省 インターネット人権相談受付窓口
大人が今日からできること
- 人の失敗や見た目を笑う場面で、一緒に笑わない
- SNSで誰かを攻撃する投稿を、拡散しない
- 子どもの前で、他人の悪口を言わない
- 「いじめはどの子にも起こりうる。いじめる側も、いじめられる側も」と知っておく
子どもは、大人をまねて育ちます。なぜまねるのかは、子どもは大人をまねる。脳科学から考えるで考えます。
出典:荒井隆一『いじめ2.0』第3・1節〜第3・2節、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)
