地域と大人にできること

いじめの原因は大人社会にある。子どもは大人の「いじめ」を見ている

あらせん(荒井隆一)あらせん (更新 2026年10月30日)
この記事の目次
  1. 「子どもたちは私の鏡」
  2. 国の基本方針も「大人の影響」を指摘している
  3. 子どもが見ている大人の「いじめ」
  4. ネットの誹謗中傷は、大人の「いじめ」
  5. 大人が今日からできること

この記事の3行まとめ

  • 国のいじめ防止基本方針は、大人社会のハラスメントや差別的な振る舞いが、子どもに影響を与えると述べています。
  • 525人の子どもを担任して感じたのは、「親と子は本当によく似ている」ということです。
  • ネットでの誹謗中傷は、大人がしている「いじめ」です。大人が変われば、子どもも変わります。

「子どもたちは私の鏡」

私は16年間、小学校の教員として525人の子どもを担任しました。その経験から言えるのは、「親と子は本当によく似ている」ということです。親が明るくユーモアのある人なら、子どもも明るい。親が挑戦する人なら、子どもも挑戦できる子になっています。

鏡に映る子どもと大人(イラスト)
子どもは、大人を映す鏡。(イラスト:広野りお)

教師も同じです。私が元気よく授業をすれば、子どもたちも元気に発言します。大切な人を亡くした翌日、落ちこんだまま教室に入ると、子どもたちの表情も沈んでいました。「私の気持ちが伝わってしまっている」と、心から反省したことを覚えています。

国の基本方針も「大人の影響」を指摘している

国の「いじめの防止等のための基本的な方針」には、次のような趣旨のことが書かれています。

  • 大人社会のパワーハラスメントやセクシャルハラスメントも、いじめと同じ地平で起こる
  • 他人の弱みを笑いものにしたり、暴力を肯定するように受け取られたり、異質な他者を差別したりする大人の振る舞いが、子どもに影響を与える
  • いじめの問題は、学校を含めた社会全体の課題である

子どもが見ている大人の「いじめ」

大人の振る舞い子どもが受け取るメッセージ
人の失敗や見た目を笑う番組を、大人が手をたたいて笑う人を笑いものにするのは、おもしろいことだ
SNSで、有名人や知らない人を集団でたたく悪いと思った相手なら、何を言ってもいい
「うちの子はいじめる側だから安心」と言ういじめる側に回れば、安全だ
「社会に出たらいじめられるから、強くならないと」と見過ごすいじめは、がまんするものだ

最後の2つは、私が実際に聞いた言葉や話です。学校は「いじめは絶対にいけない」と教えるところです。大人がこう考えていては、子どもは守れません。

ネットの誹謗中傷は、大人の「いじめ」

今、大人の「いじめ」が最も目に見える場所は、ネットです。SNSでの誹謗中傷は社会問題になり、2025年4月には、大規模なSNS事業者に削除対応の迅速化などを求める「情報流通プラットフォーム対処法」が施行されました。

子どもは、大人のスマホの画面をよく見ています。大人がネットで誰かをたたく姿を見せれば、子どもも同じことをします。

ネットで誹謗中傷を受けたときの相談先は、大人も子どもも同じです。

大人が今日からできること

  • 人の失敗や見た目を笑う場面で、一緒に笑わない
  • SNSで誰かを攻撃する投稿を、拡散しない
  • 子どもの前で、他人の悪口を言わない
  • 「いじめはどの子にも起こりうる。いじめる側も、いじめられる側も」と知っておく

子どもは、大人をまねて育ちます。なぜまねるのかは、子どもは大人をまねる。脳科学から考えるで考えます。

出典:荒井隆一『いじめ2.0』第3・1節〜第3・2節、文部科学大臣決定「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年改定)

あらせん(荒井隆一)
この記事を書いた人 あらせん(荒井隆一)

小学校校長。書家。ことわざの達人。SUNPEACE 理事長、情熱教師塾 塾長。第63回読売教育賞 最優秀賞。著書『いじめ2.0〜新しいいじめとの戦い方〜』。

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